アクターズスクール広島(ASH)卒業生インタビュー。
元さくら学院で、現在は「ラブベリー」(徳間書店)で専属モデルを務める杉本愛莉鈴が登場。
在学中に結成した伝説的ユニット「マリアル」や、活躍する先輩や同期たちとのエピソードを語る──。
「ここ(ASH)に行ってスターになりたい?」
杉本愛莉鈴(すぎもと・まりり)
2000年8月4日生まれ。12期生。2012年にさくら学院に加入、翌13年卒業。「ニコ☆プチ」「ピチレモン」で専属モデルを務め、現在は「ラブベリー」の専属モデルとして活躍中。2017年公開の映画「傷だらけの悪魔」出演。
公式Twitter:https://twitter.com/sugimoto_mariri
──ASHでは何期生になるんですか?
12期生です。4歳のときに一番下のキッズクラスから入って、小学校5年生の11歳くらいまでいました。
──入ろうと思ったきっかけを教えてください。
親に「愛莉鈴、ここ(ASH)に行ってスターになりたい?」って聞かれて、なにげなく「なりたーい!」って言ったら、連れてこられてました。最初の記憶は曖昧なんですけど、同い年なのにすごくオシャレでダンスがキレキレの子がたくさんいて、自分は端っこのほうで、先生に一番簡単なステップを教えてもらいました。「これをやって本当にスターになれるの?」って思ってたんですけど、やってみたら楽しくてまたやりたいなって。
──レッスンをはじめるうちに具体的に目標ができた。
中元すず香ちゃんを見て「私もこんなふうになりたい」って思ったんです。はじめのうちはASHで目立つ人になることが目標だったんですけど、ひとりでステージに出れるようになってから、より具体的になったと思います。あるとき、自分はアイドルっぽいダンスが好きだと気付いて、先輩の赤澤那奈さんのダンスを見ながら、表情とかをすごく勉強してました。キレキレのダンスにもあこがれたんですけど、私にはできないと思ったし、アイドルのダンスや表情のほうがやってて楽しかったんです。
──それは何歳くらいのときですか?
小5くらいです。オーディションに受かるようになった時期に、ちょうど雑誌「ニコ☆プチ」の読者モデルから専属モデルにあがって、そこで世界が広がった気がしました。最終的にはアイドルになりたいと思ってたので、モデルをやりながらアイドルの道に進むこともあるかなって。
あこがれる側からあこがれられる側へ
──ASHでの一番の思い出はなんですか?
マリアル(杉本愛莉鈴、石野理子、橋本茜、段原瑠々)っていう4人組のユニットでの活動です。わざわざリハーサルを見に来てくれるスクール生の子もいて、そこで自分たちがあこがれる側じゃなく、あこがれられる立場になったんだなって、うれしかったですね。
──マリアルを組んでたのは何歳のころですか?
私が小4のときにはじめてできたんですけど、もともと理子ちゃん(現アイドルネッサンスの石野理子)と身長が近かったこともあって、よくP企画(先生たちがユニットを選抜するオーディション)で一緒になってたから、「またユニット組もうよ」って話してて。それで同い年の茜ちゃん(橋本茜)にも声をかけてたら、瑠々ちゃん(現ハロプロ研修生の段原瑠々)も入りたいってなって。「いいよ〜いいよ〜」っていうゆる〜いノリでできた4人組でした。みんな仲が良くて、ケンカもまったくなかったですね。
──どんな曲をやっていたんですか?
そのとき流行ってたのが「ヘビーローテーション」だったから、まずヘビロテをやることになって、瑠々ちゃんが振りを考えてくれました。瑠々ちゃんのお姉ちゃんの梨里ちゃん(SPL∞ASHの段原梨里)にも手伝ってもらって。マリアルはたくさんの人たちに手伝ってもらってたこともあって、いつも最高のパフォーマンスを目指してました。イベントにもいっぱい出られて、そこでファンの方とのつながりも増えました。
──マリアルのみんなといまも交流はありますか?
この前久しぶりにSPL∞ASHのメンバーや、上京してきてるASHの人たちで集まったんですけど、マリアルのみんなは会えてないんですよ。理子ちゃんや瑠々ちゃんも来る予定だったけど、都合が合わなくて。梨里ちゃんが来てたので、瑠々ちゃんとは電話で話しました。
──ふたりともまだ広島ですからね。
そうなんですよね。私もさくら学院にいた時期はほぼ通いだったので、大変さがすごくわかります。始発で来て終電で帰ったり、2週間くらい家に帰れなかったり。なんでも自分でできるようになっちゃいますよ。
ASH時代の中元すず香と鞘師里保
──さくら学院に加入したのは何歳のときですか?
小6です。もう雑誌のモデルもやってて「マリアルでの活動もそろそろできなくなるかな」って思ってたころに、さくら学院に入ることが決まって。それがきっかけで、ASHを卒業することになりました。その後、両親も転勤希望を出してくれて、小学校卒業直前くらいに上京しました。
──当時のASHの仲間で、広島から通ってる人はいましたか?
はじめのころはすーちゃん(中元すず香)も通いだったみたいです。すーちゃんは先輩だけど、ASHに入ったのは私のほうが早いんですよ。でも、すーちゃんはひとりだけ次元が違ってたというか、「芸能人がきた!」って感じでしたね。
──元モーニング娘。の鞘師さんとは同期なんですよね。
はい。でも、歳は里保ちゃんのほうが2歳上です。キッズクラスに4歳と6歳で入ってるんですけど、そのときからダンスがめっちゃうまくて、里保ちゃんはASHの中のトップって感じでした。
──同期の鞘師さんがモーニング娘。に入ったときはどう思いました?
里保ちゃんは圧倒的にダンスがうまくて、モーニング娘。に入ってもずば抜けてうまいだろうなって思ってたので、正直おどろかなかったです。
マリアルの4人でデビューしたかった
──ASHで学んだ一番大きなことはなんですか?
大勢の中でどうやったら目立てるかということです。ダンスや歌がちょっとうまいとほめられただけでは、ステージで本当に目立つことはできないんです。それをみんな知ってるから、ギリギリまで衣装を見せなかったり、お互いに自分が歌う曲を教えなかったり、歌が苦手だったらちょっと路線を変えたりとか…先生とも相談しながらですけど、自分をどうアピールするかをすごく学びました。
──ASH卒業生に共通点はありますか?
みんな目立ちたがりで、負けずぎらいです。ユニットを組めばもちろん協力するし、仲間の絆はすごく生まれるんですけど、いざクラスでのレッスンになるとまったく違った個人の戦いがはじまるので、本当にピリピリしてますね。仲のいい子が選抜に選ばれたらうれしい気持ちもあるんですけど、なんだかんだでくやしさは誰でも持ってたはずです。
──常に人よりも目立つことを考えないといけないんですね。
そうなんです。小学校低学年くらいまではなにも考えずぬくぬく過ごしてたから、もしかしたら自分は向いてないのかなと思ってて。それで小2のときにやめようと思って、親に「最後の発表会だけ全力でやりたいからあと1回だけ出させて」ってお願いしたんです。最後だから思い切ってなんでもやってみようと思って、それまでとは違う感じでがんばってみたら、ソロにもユニットにも受かったんです。そこで、やっぱりやめられないねってなりました。
──ASH時代のパフォーマンスで思い出に残ってるものは?
ソロだと「ゆずれない願い」です。そのときちょうど読者モデルをやりはじめて、他の人にも注目されてたのでがんばらないとって思ってました。ユニットだとやっぱりマリアルで、一番最初にやった「ヘビーローテーション」ですね。
──マリアルはセルフプロデュースでやってたんですよね?
そうです。曲を自分たちで選んで、ダンスも自分たちで考えて。いま思うと私たちけっこうがんばってたなって。
──リーダーシップは誰が取ってたんですか?
瑠々ちゃんですかね。一番歳下なのに、一番がんばってくれてて。ダンスも考えてくれて、それにみんなが合わせてた感じです。私ひとりじゃダンスなんて無理なのに、4人になるとこんなにいいものができるんだって、うれしかったです。
──いいチームワークだったんですね。
はい。最高のメンバーで組めたなってずっと思ってて。マリアルのメンバーには本当に感謝してます。というか4人でデビューしたいくらいでした! もう1回どこかで再結成してやれないかなあって思ってるんですけどね。
──確かに、いまこそ見たいですね。
本当に! 誰に頼めばいいんですかね?
さくら学院は私のふるさと
──さくら学院時代はどんな活動を?
主にライブ活動なんですけど、想像してた以上に大変でした。広島から通うだけで体力を消耗してたのに、さらに毎日のレッスンがあって。でもステージでお客さんの前に立つとそんなことも忘れちゃうくらい楽しくて、続けたいなって思ってたんですよ。
──活動期間は1年でしたね。
並行して「ニコ☆プチ」で専属モデルをしてたんですけど、さくら学院の活動で撮影にあまり参加できなくなってたんです。モデルの活動もけっこうがんばってたので、そこでトップになりたいっていう思いも強くて。両立できたかもしれなかったけど、もしそうなれなかったときにそれをさくら学院のせいにはしたくなかったんです。
さくら学院の先生ともいろいろ話し合って、悩んだ結果、モデルを続けるためにさくら学院を卒業しました。その1年間の活動で、いまもすごく応援してくれてるファンの方がいるし、父兄さんにはいまも支えられてて、さくら学院は本当に私のふるさとだなって思ってます。
──さくら学院の同期は誰なんですか?
同時に入ったのは大賀咲希ちゃんと野津友那乃ちゃんと私で、大賀咲希ちゃんと磯野莉音ちゃんが同い年でした。
──杉本さんの卒業後に転入した白井沙樹さんを入れて、今年の卒業生組ですね。
3人ともそれぞれ自分の道に行って、すごいなって思います。
すーちゃんは私のなかでずっとあこがれなんだ
──さくら学院時代で印象に残ってることはなんですか?
最初は、あんなにあこがれてたすーちゃんと同じステージに立てることがうれしかったです。自分もすーちゃんにここまで近づけたんだなあと思って。私、BABYMETALも大好きで、重音部の部活動の練習を見てても、やっぱりすーちゃんってすごいなってずっと思ってました。
──いま世界で活躍する姿を見てどう思いますか?
昔よりもっと遠くなったんじゃないかって。でも、この前の私のお誕生日に「おめでとう」ってLINEをくれたんです! めっちゃうれしくて、これ、何人に自慢できるんだろうって。ふふふ。ちょっとずつ私もすーちゃんに近づけられてたらいいなと思います。
──卒業生がそれぞれの場所で活躍しているのを見てどう思いますか?
いままで一緒に活動してた人がどんどん有名になっていくと、もう一回同じステージに立てるんじゃないかっていう希望が持てます。自分もがんばろうって思うんです。
──いまの杉本さんの目標を教えてください。
西内まりやさんみたいに、モデルに歌に演技に…とマルチな活動ができる芸能人になりたいですす。私も、ASHやさくら学院で歌やダンスをやってきて、モデルの活動もして、それと来年の2月に公開される映画に出るんですけど、演技の道も開けてきたのでがんばりたいですね。
──歌手活動もやりたい気持ちはあるんですね。
はい。Twitterを見てても「また愛莉鈴の歌が聞きたい」って言ってくれる方がたくさんいるので、どこかで歌う機会ができたらいいなって思ってます。
撮影=石垣星児
執筆=森野広明