「ASHがなければ、いまごろふつうの小学生だった」佐竹未羽(pax puella)インタビュー

「ASHがなければ、いまごろふつうの小学生だった」佐竹未羽(pax puella)インタビュー
この記事は2016年8月19日に「LoGiRL」で公開されたものであり、内容は初出当時のものです。

Perfumeのメンバーを筆頭に、BABYMETALのSU-METAL、元モーニング娘。の鞘師里保、乃木坂46の中元日芽香など、世界に名だたる多くのアイドル&アーティストを輩出し続けているアクターズスクール広島(以下、ASH)。
その卒業生インタビュー、今回は仙台発のアイドルユニット「パクスプエラ」の最年少メンバーとして活動中のMIU(佐竹未羽)。
広島から仙台へ、アイドル育成の地を渡り歩いた彼女が見たものとは──。


レッスンがつらいと思ったことはないです

[PROFILE]
佐竹未羽(さたけ・みう)
2006年3月1日生まれ。26期生。仙台を中心に活動する5人組ユニット「パクスプエラ (pax puella)」の最年少メンバー。2014年6月に、グループの前身となる「mImi」に加入。2015年に改名、メンバー入れ替えを経て、坂本サトルのプロデュースで活動再開。ヴォーカル&ダンスのパフォーマンスの完成度の高さに注目が集まっている。
公式サイト:http://paxpuella.com
公式Twitter:https://twitter.com/pax_puella

──いまは仙台を中心に活動していますが、いつからこっちに?

小学3年生のときには仙台に来てました。

──ASHは何歳のときに入ったんですか?

年長さんのとき、キッズクラスに入りました。6歳だったので、いまから4年くらい前ですね。もともとは児童劇団に入ってたんですけど、演技があんまり好きじゃなかったみたいで、半年くらいで飽きちゃって。そんなとき「ドラえもん」のエンディングのダンスコーナーを見て踊る私を見て、お母さんが「ダンスが好きならアクターズってところがあるから入ってみる?」と勧めてくれたんです。

──何歳までASHにいましたか?

最後は小2で、Aクラスにいました。

──ASHで思い出に残ってることはなんですか?

やっぱり発表会です。半年に1回しかない大きなステージで、そこに向けてたくさん練習しなきゃいけないから、すごく大変でした。だけどやり終えたあとは、「がんばったなあ」って感動できました。それが一番の思い出です。

──レッスンのつらさはありませんでしたか?

つらいと思ったことはないです。お母さんが「怒ってもらえるのは先生たちが、未羽ならできると思ってくれてるからだよ」と言ってくれてたので、きつく言われても自分のためだと思ってがんばれました。

引っ越しを機に仙台の事務所に所属

──ほかの人に比べて早くデビューが決まったと思いますが、どんな心境でしたか?

CDデビューって簡単にできることではないので、いま自分がいるところはどこなんだろう、すごいな…って。それまで、ずっとASH生としてやってたんですけど、たまたま仙台に引っ越さなきゃいけなくなって、そのときに先生たちが探してくれたところが、仙台で最初に所属した事務所でした。そこですぐにグループに入れることになって、とんとん拍子に行ったというか…。

──デビューのために仙台に来たわけではないんですね。

そうなんです。たまたま引っ越すことになって、でもダンスがやりたかったのでお母さんが先生に相談して探してくれたんです。

──スクールから事務所へと移籍して、レッスンに違いはありましたか?

ASHだとクラス単位なんですけど、事務所ではユニットに選抜された人だけがレッスンを受けられるんです。レッスンは事務所のほうがやっぱりきびしかったと思います。アクターズよりもっときびしかったです。

──共通点は?

先生がきびしかったのは一緒だし、やさしいときも一緒。がんばったときにはたくさんほめてくれるのも一緒です。

仙台と広島の「やさしさ」の違い

──いま在籍してるパクスプエラというグループについて教えてください。

中学2年生が3人、中学1年生がひとり、小学5年生の私の5人組で、宮城県の仙台を中心に活動してます。

──最初にほかのメンバーたちと会ったときはどんな印象でしたか?

はじめて会ったのはレッスンのときでした。「もう未羽ちゃんは経験あるから入っていいよ」って言われてすぐに参加したんですけど、そこにいまの4人のメンバーがいました。すごくきれいに踊ってて、姿勢も良くて、キラキラ輝いてて、「私もあんなふうにできたらなあ」って思いました。

──仙台に来てから自分が変わったところはありますか?

ASHのときに比べて、人に甘えるようになりました。いまはグループでも1番下だし、みんなしっかりしてるんで…。遠征に行ったときもホテルですごくさみしくなって、寝る前にぜったいにお母さんに電話してます。

──遠征に行くことも多いんですね。

東京に行くこともありますし、遠征っていうほどじゃないですけど岩手県の盛岡に行ってイベントすることもあります。でも、さみしいけど、楽しいことのほうが多いです。みんなといると、おしゃべりして夜ふかししちゃいます。あとは「今日の◯◯良かったよねー!」とか「人いっぱいいたねー!」とかほめ合ったりして、みんなで楽しんます。

──広島の人たちと仙台の人たちに違いはありますか?

仙台の人は柔らかいというか、最後まで話を聞いてくれますね。広島の人もやさしいんですけど、たとえば、仙台の人たちは悩みがあるときに「どうしたの?」って話を聞いてくれるんです。広島の人は「どうしたの? 元気ないよ! 元気出して!」みたいな。それぞれ別のやさしさだなって思います。

──ご自身はどちらのタイプですか?

キャラ的には広島かなって思います。ガツガツいく感じのほうが好きなので。

もうちょっと真剣にやってればな

──いまも広島に行くことはありますか?

年末や夏休みに2週間くらい空いてたら、1週間は広島に帰ります。スクールにも顔を出すんですけど、すごく緊張するんですよ。だけど、みんな覚えててくれるのでうれしいです。

──ASHのデビュー組で仲が良かった子はいますか。

石野理子(アイドルネッサンス)ちゃんとはリハーサルのときによく話してました。植木美心(Dancing Dolls)ちゃんともレッスンの合間によく話したり、おかし交換とかしてました。

──同じ場所でがんばっていた人たちはやっぱり意識しますか?

自分たちより上って感覚ですね。表現力も歌もダンスも自分より上手だと思うし、自分たちもCDは出したけど枚数も少ないと思うし、もっとがんばらないとなって思います。あこがれもあるし、ライバル心もあります。

──ASH出身の方がいま注目されていますが、なぜだと思いますか?

私はASHで、歌やダンスに関わることをすべて教えてもらったんですけど、たぶんそれを自分のなかでモノにできた人が、いま有名になってるんじゃないかなって思うので、もうちょっと真剣にやってればなぁといまになって思ったりします。

「協力」することをASHで学んだ

──ASHのレッスンで役に立っていることを教えてください。

腹筋が強くなって、声が張れるようになったし、高音も出るようにもなりました。息を吐いて低いドから、高いドまで音程を保つ発声練習はいまもやってます。

──ASHで学んだ一番大きなことはなんですか?

「協力」ですね。ひとりじゃできないことも、力を合わせればできる。それはいまにつながってると思います。ひとりでがんばっても、5人でがんばらなきゃ意味がなくて、全員で力を合わせないとできないことがあるってことを、ASHで学んだとおもいます。

──ASHに入って良かったなと思うところはありますか?

もしASHに入ってなかったらいまごろふつうの小学生だったと思います。引っ越しでASHをやめることになったときにも、先生たちが「どこ行くの? いいところ調べてあげるからダンス続けてみな」って励ましの言葉かけてくれてうれしかったです。

──では最後に、今回パクスプエラに興味を持った人に自分たちのおすすめポイントを教えてください。

若くて体力があるので、みなさんに元気をたくさん届けられると思います。私たちの年齢だとまだ曲数を多くやっても疲れきらないので、最後までみなさんに笑顔を見せられます! ぜひ一度ステージを見に来てください!

「マリアルは最高のメンバーで組めたなって」杉本愛莉鈴(写真8枚)インタビューに続く]


執筆=森野広明