ASH卒業生の共通点は「メンタルの強さ」─西脇彩華が登壇─『アクターズスクール広島 25thアニバーサリーBOOK -NEW HORIZON-』発売記念イベントレポート(写真10枚)

2025年4月20日。アクターズスクール広島(以下、ASH)の25周年を記念して制作された書籍『アクターズスクール広島 25thアニバーサリーBOOK -NEW HORIZON-』の発売を記念したトークイベントが、SHIBUYA CAST. 1Fイベントスペースにて開催された。

本イベントには、ASHの卒業生であり俳優、タレント、歌手としてマルチに活躍する西脇彩華(以下、ちゃあぽん)が登壇。本書の責任編集者である株式会社PICK UP PRESSの木田祐介と、メインライターを務めた森野広明を交え、書籍の制作秘話やスクール時代の思い出を振り返った。

ASHの代表ユニット・SPL∞ASHの楽曲が流れるなか、SHIBUYA CAST.のイベントスペースが開場した。この日の夜に、ASH卒業生でもあるPerfumeのツアー『Perfume 10th Tour ZOZ5 “ネビュラロマンス” Episode 1』が千秋楽を迎えることもあり、Perfumeグッズを身につけたファンの姿も多く見受けられた。

また、本イベントのためにアクターズスクール広島事務局長を務めた南典秀が、広島から遠路はるばる応援に駆けつけてくれた。

今回の本は、ものすごく豪華な一冊

司会を務めた木田の呼び込みで、スペシャルゲストのちゃあぽんがさっそく登壇。この日のイベントは、書籍の目玉企画であった卒業生の1万字インタビューがどのように行われたのか、その雰囲気を再現するというもの。本書のライター・森野が、ちゃあぽんの書籍インタビューの文字起こしが3万5千字を超えていたことを明かし、誌面に載りきらなかったエピソードを改めて聞いていった。

まずは、完成した書籍の感想について「ものすごく豪華な一冊。たくさんの卒業生たちが、現在のいろいろな立場から語っていて、それぞれの角度があってすごくおもしろい」と述べたちゃあぽん。各インタビューに掲載されている先生からのコメントが、うれしいサプライズだったと明かした。

また、現在まで続く卒業生たちの強いつながりについても言及。1期生の大歳恭平を中心に、卒業生同士のLINEグループが今でも活発に動いているとのこと。この日のイベントもチェックしてくれているようで、舞台やライブ、テレビ出演の情報をシェアし合いながら「見たよ」「よかったよ」と励まし合う環境が続いていることに、ちゃあぽんは「帰れる場所があるのはありがたい」と語った。

個別で印象に残ったインタビューとして挙げたのは、後輩である鞘師里保や中元すず香。ASH時代の小さかったころの記憶しかなかったが、大人になってからの言葉を読むことで「こういう考え方をする人なんだと、改めてここまでの活動の背景を想像させられた」と新たな一面を知れたという。

話題は、姉の西脇綾香(あ〜ちゃん)が所属するPerfumeにも及んだ。特に印象的だったのが、Perfumeのインタビューページに掲載されていた、ASHのダンス講師・CHRIS先生のコメントだという。

「ものすごく個性的な方だから、小さいころは『何考えとんじゃろう』と思っていたけど、本を読んで一人ひとりのことをすごくよく見てくれていたんだなって感動しました。お姉ちゃんについて『振りの入れ方が正確で、すごくいいダンサーだと思います』とおっしゃっていたんですが、それは私がASHで教わったダンスの正しさなんですよね。まずは人のマネをして、それができることがいいダンサーなんだって」

改めて、自分の信じてきた価値観と一致したコメントを目にして、大きな励みになったという。

「私自身、東京に来てアイドルをやっているとき、曲ごとに変わる振り付けの先生のクセやグルーヴ感を大事にマネしながら覚えていたんですが、それよりも自分らしさを表現できているダンスが評価されることが多いんですよ。私からすると『それ、先生のダンスと全然違うのに』と思って、悔しい思いをすることがすごくあったんですよね。だけど、CHRIS先生がこの本で、自分が信じる先生のマネをすること、素直に純粋に振りを体に入れられること、それがいいダンサーだって、今でもそうやって言ってくれたことに対して、『ああ、やっぱり私はここで育ったんだ』と、答え合わせをしているような気持ちになって、涙が止まらなくなっちゃって。気づいたら、お姉ちゃんにめちゃくちゃ長文のメールを送っていました(笑)」

ASH卒業生の共通点は「メンタルの強さ」

ASHでは、年に2回の発表会に向けてレッスンを重ねていくのが創設からの伝統だ。この日の来場者には、ちゃあぽんが出場した発表会演目リストが配布され、改めて自身のベストアクトにも言及。書籍内でベストアクトに選出した「ニッキ・ニャッキ」の音源が会場に流れるなか、印象深いパフォーマンスとして「まぢかる♥びぃぃむ」や「CLOVER」などのユニットを挙げ、同期の松前吏紗を含む「まなみのりさ」たちとの熱い絆を語ってくれた。

また、在学中のかしゆかやのっちらPerfumeメンバーとの共演を振り返りつつ、姉と同じステージに立ったことがないことについて「今思えば、やっておきたかったと思うか」と聞かれると「いや、大丈夫です(笑)」と笑わせた。距離を保つことでお互いのよさが活かせたと分析し、「先生たちがそのことに早い段階で気づいていたのがすごい」と改めて感心していた。

その後、自身のターニングポイントとなったパフォーマンスや、田中都和子先生やMIKIKO先生との思い出エピソードを披露し、ASH卒業生の共通点について聞かれると「メンタルの強さ」を挙げてくれた。

「『誰もがセンターに行けるわけではない』という実力絶対の環境に育ってきたなかで、『お客さんとは』『お金を払って見に来てもらうということは』といったものすごく基本的なことを教えていただいたので、それは自分もすごく大事にしてきましたし、それはほかの子のパフォーマンスを見ていてもすごく感じます。あとは『センターでなくても輝ける』という意識を小さいときから教えられているので、そこもメンタルの強さにつながっているのかなって」

スクール時代から限られたチャンスの中で、自分がどう存在感を出すか、どう輝くかを追求してきた姿勢が、今の舞台や芸能活動にも活きていると話す。

インタビューパートの最後には、来場者からの質問コーナーに。「壁にぶつかったときのリフレッシュ方法」を尋ねられると、「家族に相談することが一番多いかもしれない」と話す。特に母親とは幼いころから二人三脚でスクールでの活動に取り組んできたため、悩みの共有も自然にできる関係なのだという。

ちゃあぽんのトーク力で大盛り上がりのなか、約1時間にわたるイベントもあっという間に終了間近。2025年6月4日〜6月8日に上演される『夢ぼくろファンタジア』(劇団バルスキッチン)と、2025年7月17日〜21日(東京)、2025年8月2日~8月3日(広島)で上演される『夕凪の街 桜の国』のふたつの主演舞台を告知すると、「最後は、スクール生にとって大切な曲で締めたいと思います」の曲紹介とともに、「NEW HORIZON(スクールの歌)」の2024年春のライブ音源が流れ、温かい拍手の中、ちゃあぽんが退場。その後の書籍お渡し会でも、お客さん一人ひとりとたっぷりおしゃべりをしながらお見送りし、この日のイベントは終了した。終始アットホームな雰囲気で、和やかな空気に包まれていたのが印象的だった。


撮影=石垣星児
執筆=森野広明
編集=木田祐介

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