25年の歴史、その根幹を成す“発表会”「2024 SPRING ACT」レポート前編(写真15枚)

2024年3月20日、春分の日に「ACTOR’S SCHOOL HIROSHIMA 2024 SPRING ACT」が開催された。

アクターズスクール広島(ASH)は開校以来、年に2回の発表会を開催している。ASH生にとっても、日々のレッスンの成果を披露するとともに、全国の芸能事務所へのアピールの場として、とても重要なステージだ。今年は特に、開校25周年というメモリアルイヤー。周囲の期待は否が応でも高まる。

当日は、あいにくの雨模様。16時30分からの開演に向けて、生徒たちの朝は早い。会場となるJMSアステールプラザのロビーでは、キッズクラスの生徒たちが元気いっぱいに駆け回っている。もしかしたら、いつもと少し違った空気に浮き足立っているのかもしれない。

一方、続々と会場入りしてくる年長者の中には、ややナーバスな表情を見せる者も。どんな気持ちで、この日を迎えているのだろうか。

ステージ上でセットの設営や音響確認が進められるなか、9時30分に生徒たちが座席に集まってくる。大半の生徒は、すでにステージ衣装を着用。高揚感のせいか場が整うまでに少し時間がかかったが、スタッフが壇上から声を発すると、一気に空気が引き締まる。

「今日の舞台はいつもとちょっと違います。一番の違いは、お客さんがいるということ。いつも習っているダンスや歌を、お客さん相手にどう見せるかということは、スクールの活動において、とても大事なことだと思っています」

改めて、発表会の重要性を説く。発表会の存在こそが、ASHをASHたらしめていることが、よくわかる。いつしか、生徒たちも真剣なまなざしになっていた。

「今日のみんなの最終目的は、ひとつだけ。“来てくれたお客さんを楽しませること“です。その意識は、共通で持っていてほしいと思っています。OK?」

「はい!」

リハーサルがはじまった。ステージでは各講師たちの指示で、クラス、ユニット、ソロでのそれぞれの振りや動線の確認が行われる。

その光景を保護者たちが客席後方から見守っている。生徒の妹や弟たちだろうか、まだ小さい子どもたちも、ステージを食い入るように見つめていた。

「あと30秒で終わらせましょう!」

約60分のリハーサル時間を秒刻みで分け合うので、あわただしい。指導にも熱が入る。ここでは細かな表現などの指導はなく、あくまでステージを円滑に進行させるための出ハケの確認や準備が入念に行われる。個々のパフォーマンスについては、それまでにしっかりと積み上げてきたということだろう。

オープニングとダンスチームの調整をして、最後に「NEW HORIZON(スクールの歌)」の確認が行われ、時間は10時45分。間髪入れずに、ゲネプロがスタート。本番とほぼ同じ流れで最終的な調整を重ねていく。細かな指示にも即座に対応をしていく生徒たち、さすがである。

楽屋エリアでは、この日行われた特別企画「SPL∞ASH同窓会」の準備も進められていた。久々に顔を合わせた卒業生たちが再会を喜び合う。和気あいあいとしたムードながら、在籍時代を思い出してか独特の緊張感にも包まれているようだった。

初めて舞台に立つ者、久しぶりに舞台に立つ者、最後の舞台に立つ者。それぞれの想いを胸に「ACTOR’S SCHOOL HIROSHIMA 2024 SPRING ACT」の幕が上がる───


撮影=石垣星児
執筆=森野広明
編集=中野 潤

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