世界に名だたる多くのアイドル&アーティストを輩出し続けている、アクターズスクール広島(ASH)。在校生の注目株にインタビュー。
ASHのトップユニットであるSPL∞ASHに所属する永尾梨央。パワフルな歌声に定評のある彼女に、ASHのこと、3月31日に行われた「ACTOR’S SCHOOL HIROSHIMA 2019 SPRING ACT」のパフォーマンスのこと、そして「これから」について話を聞いた。
入学オーディションで準グランプリ
永尾梨央(ながお・りお)
2003年6月15日生まれ。30期生。Dクラス所属。2019年1月より、SPL∞ASHの正規メンバーに。イメージカラーはオレンジ。
──ASH歴はどれくらいですか?
もう6年くらいになります。それまで歌やダンスはまったくやってなくて、音楽教室でピアノを習ってたんですけど、そこで歌のコンクールがあったときに少しだけ歌ったことがあるくらいでした。
──当時から歌うことは好きでしたか?
小さいころからずっと好きで、「おかあさんといっしょ」(NHK)の「うたのおねえさん」に憧れてました。(はいだ)しょうこおねえさんのときだったと思います。
──ASH入学のきっかけを教えてください。
小学4年生の夏休みに、父がASHの入学オーディションを見つけてきて、「こんなんあるけん、受けてみたら?」って言われたんです。夏の思い出作りくらいの軽い気持ちで受けたんですけど、準グランプリをいただけて。両親は受かると思ってなくて、グランプリか準グランプリになったら通ってもいいと言ってたんです。
──そのときの気持ちを覚えていますか?
とにかくびっくりしました。うれしさよりも「えー! ホントに!?」っていうおどろきのほうが大きかったですね。審査のこともあまり覚えてなくて、そのときすごく日焼けして肌が黒かったので「何回プールに行ったんですか?」って聞かれたのを覚えてます。「これ、関係あるのかな?」って思いながら答えてました。
──いまもわりと地黒なイメージはありますよね。
そうですね。先生に日焼けはやめなさいって言われてて、日焼け止めもぬってるはずなんですけど…。
発表会は自分が変わった瞬間
──ASHの同期を教えてください。
昨年卒業してしまった中村葵生(元SPL∞ASH)ちゃんと、あとはpeonyの山本夢乃ちゃんくらいしか残ってないと思います。
──準グランプリとして入学することに、プレッシャーはなかったですか?
当時はちゃんとした覚悟もまったくなく、ただの習いごと感覚だったんです。ただ楽しいとしか思ってなくて、ASHがどういうところかもよくわかってなかった。入ってから「あ、こんなところだったんだ!」って。
──ASHのどんなところにおどろきましたか?
とにかくダンスがむずかしくて…。入学オーディションはスクールのお姉さんに教えてもらって踊るんですけど、私はなにをしたらいいのかもわからなくて、棒立ちしてた気がします。だから、自分でもなんで準グランプリだったのかわからなくて。いつか先生に理由を聞きたいと思ってるんですけど、時が経ちすぎて「ま、いっか」ってなってますね。
──そのほかにも、印象に残ってることはありますか?
レッスンのアシスタントには、るう姉(土居瑠利茄)と、あやき姉(中澤彩希)のふたりによくついてもらってたんですけど、同じスクール生なのに本当にすごくて、プロみたいだなって思ってました。お姉さんたちに対する憧れは、すごく大きかったですね。
──6年前だとSPL∞ASHには、現=LOVEの山本杏奈さんなどもいましたよね。
はい! 山本さんのほかにも、花岡菜積(現・花岡なつみ)さん、植木美心(元Dancing Dolls、元風光ル梟、現THE COINLOCKERS)さんもいて、すっごく憧れてました。
──入学してからは順調でしたか?
いえ、入ってから2年間は、発表会のオーディションに落ち続けて、みんなが参加できるクラス曲しか出られなかったんです。くやしかったですね。
──それでも続けようと思った理由を教えてください。
お姉さんたちへの憧れももちろんあったんですけど、シンプルに好きだからやりたいと思ってました。楽しかったんですよね。
──自分では、どこがターニングポイントになったと思いますか?
小学6年生の春の発表会です。はじめてソロで合格して、たくさんのお客さんをひとりじめできることがすごくうれしかったです。同時にP企画(先生たちがユニットを選抜するオーディション)にも合格することができて、あの発表会は自分のなかでも変わったなと思った瞬間です。
山本杏奈ちゃんもあきらめずにがんばったんだ
──その後は、発表会でソロを取る回数も増えていきましたね。スクール内で意識している人はいますか?
ずっと平内真矢ちゃんと倉岡蒼空ちゃんと私の3人で「ライバルだね!」って言い合ってたんですけど、ふたりともいなくなっちゃったので、さみしいですね。でも、実際には真矢は先輩だったし、歌に関しては神様みたいというか、一生勝てないんじゃないかと思ってて、どちらかというと、くら(倉岡)のことを一番ライバルだと思ってました。くらは一年後輩だったけど、いろいろと先を行かれて、追い越されちゃったようなくやしさもあったので。
──歌について、いまの自分の課題はなんですか?
先生やスタッフさんに「ただ歌ってるだけで感情が込もってない」とか「豪速球なだけ」と言われてくやしかったので…感情を込めて、人に伝わる歌が歌えるようになりたいと思ってます。
──ASHを卒業した先輩で、憧れている方を教えてください。
山本杏奈ちゃんですね。近くで見てたということもあるんですけど、杏奈ちゃんは10年くらいASHにいて、あきらめなければ夢は叶うということを後輩全員に教えてくれてる気がして。自分も外部のオーディションに落ちたとき、杏奈ちゃんもここであきらめずにがんばったんだと思い直したりして、すごく助けられてる感じがします。
──在籍中に交流もありましたか?
私が中1のときに、一度だけP企画で一緒になったことがあるんですけど、緊張しっぱなしで、あまり会話できなかったんですよね。ずっと固まってました。杏奈ちゃんが考えた振りつけを踊ることもあったんですが、教え方がすごく丁寧で、すごいなって思ったことは覚えてます。ほとんど会話できなくて、いまになって「もったいないことしたなぁ〜」って思います。
──これまでASHの先輩方を見てきて、共通するすごさはどんなところだと思いますか?
ストイックさや、妥協しないところですね。やっぱり学生だから、ダンスや歌だけでなく、もちろん勉強もするんです。私も去年、受験生になったとき、先輩たちはこんな大変なことをしてたのかって思って、影での努力がすごいんだと感動しました。私はけっこう顔に出ちゃってたと思うんですけど、先輩たちみたいにクールにがんばりたいです。
選ばれるのがずっと夢だった
──3月31日に行われた「2019 SPRING ACT」でも活躍されていました。Re;chi(穴水千智とのふたり組ユニット)での出場は何回めですか?
3回めです。ちーちゃん(穴水)が大好きで、スクールのライバルというよりも「相棒」っていう感じなんですよね。ふたりで一緒にデビューしたいねって話もしてるくらいです。
──ふたりのハーモニーがすばらしかったです。
ありがとうございます! ふたりともハモりが好きなので、お互いの声に合うパートを考えながら、自分たちで相談してメロディーとハモを決めてます。曲もそれぞれ候補を出し合って決めるんですけど、Re;chiは基本的に私の趣味を前面に押し出したユニットですね。
──Dクラスで歌った「誰より好きなのに」でも、ハモを担当していましたね。
ずっとハモってました。歌い分けのテストで全員がメロディとハモを歌ったんですけど、そこで選んでいただけて「よっしゃ!」って感じでした。ソロパートはなかったんですけど、歌う量的にはハモが一番多かったので。
──そしてラストの「NEW HORIZON(スクールの歌)」では、最初に登場するメンバーのひとりに選ばれました。
はい。今回で2回めです。選ばれるのがずっと夢だったので、最初のときは緊張しました。次は、歌い出しをやれたらいいなっていうのが新たな夢ですね。
──今回の発表会で、一番練習したのはどの演目ですか?
やっぱりSPL∞ASHですね。SPL∞ASHはレッスンの回数があまり多いわけじゃなくて、自主練がメインになってるので、いろんなイベントが重なると大変なんです。
──SPL∞ASHの正規メンバーになったのは、今年の1月。それまでは研修生としての参加でしたよね。
はい。自分たちも研修生という立場でどこまでやっていいのかと考えたりもしたんですけど、メンバーのみんなが受け入れてくれてうれしかったです。いまはまた新たに研修生も入って、みんな実力がすごいのでうかうかしてられないなと思ってます。
──最後に、将来の目標を教えてください。
夢は、アニソンシンガーになることです! SPL∞ASHに入ってからは、グループの活動がすごく楽しいんですけど、でもやっぱり…アニソンシンガーになりたいです!
撮影=石垣星児
執筆=森野広明、中野 潤