世界に名だたる多くのアイドル&アーティストを輩出し続けている、アクターズスクール広島。
地方のいちスクールが、なぜこれだけ多くのスターを産み出すことができるのか。
謎に包まれた現代アイドル虎の穴が、いまそのヴェールを脱ぐ───
[前回の記事:「2015 SPRING ACT」ライブレポート前編(写真26枚)]
ASH出身者が持つ強さの秘密
ついに幕が開いた。
発表会は全43演目、上演時間はゆうに3時間を超えた。
クラスごとのステージのほかにもソロやユニットでの楽曲が披露されるが、みな校内でのオーディションを勝ち抜いて、その座をつかんでいる。
Fクラス(新人)の初々しさ、そしてDクラスの貫禄。
男女混成ユニットは可憐さと力強さが同居し、独特の色気を感じさせていた。
ソロでは、歌謡曲や洋楽のオールディーズと、その幅広い選曲におどろかされる。
次々に披露されるすべてのパフォーマンスに、みどころがあった。
ASHとは、決してアイドルを養成する機関ではない。
披露されるものはアイドル的な楽曲ばかりではなく、むしろアイドル的なものは少ないと言ってもいいかもしれない。
だが、スクール内ユニットであるSPL∞ASHや、その後発ユニットであるMAX♡GIRLSを見ればわかるだろう。
アイドルをやれば、とことんアイドルに徹することができるのだ。
ASHとは本物(プロ)を養成する機関だ。
人前に出てパフォーマンスをする──それが特別なことだということを、しっかりと教え込んでいる。
選ばれし者だけが舞台に立てるという、その厳しさを。
その事実を突きつけられてなお、戦いを挑む者ならばきっとどこへ出てもやっていけることだろう。
ASH出身者が持つ強さの秘密を少しだけのぞけた気がした。
“可能性は無限大さ!”
発表会を締めくくる曲は、第1回目のときから変わらない「NEW HORIZON(スクールの歌)」。
これはスクールオリジナルの楽曲であり、曲の出だしは代々選ばれし4人が歌ってきた。受け継がれてきた伝統である。
終演後は、生徒たちにプレゼントを渡したり、写真撮影をするために、ロビーにファンが押し寄せる。
それを講師たちがあしらう。
これもまたASHの伝統的光景なのだが、この日は、なぜかロビーに出てくる生徒たちが一様に涙していた。
話を聞くと、仲間のひとりがスクールを去るという。
そんな別れが、生徒をまた強くしているのだろう。
さあ 今 目を閉じて
生まれたての太陽 受け止めよう
静かな 強い鼓動
感じたら それだけで 大丈夫どうしても眠れない
そんな夜は 窓を開けてみよう小さく悩んでた
自分を折り畳んで空へ 飛ばすんだ涙の流れ星 溜息の月
必ず眩しい 朝が来るから解き放って!ほら笑って!
誰にだって できるはず
どこまでも どこまでも
可能性は無限大さ!
人目なんて 気にしないで
失敗なんて 怖がらないで
思い切って 踏み出す勇気が
未来へつながる「NEW HORIZON(スクールの歌)」より
[「“あきらめない子”の筆頭がPerfumeだった」田中都和子(ヴォイストレーナー)インタビューに続く]
撮影=石垣星児
執筆=森野広明