世界に名だたる多くのアイドル&アーティストを輩出し続けている、アクターズスクール広島。
地方のいちスクールが、なぜこれだけ多くのスターを産み出すことができるのか。
謎に包まれた現代アイドル虎の穴が、いまそのヴェールを脱ぐ───
Perfume、SU-METAL、鞘師里保…輩出したスターは数知れず
アイドルの存在がブームを超えて、カルチャーとして成熟しつつあるいま、地方のとある芸能スクールが注目を集めている。
その名も、アクターズスクール広島(以下、ASH)。1999年に開校した芸能養成学校だ。テレビ新広島を運営母体とし、所在地も広島市南区のテレビ新広島内にある。
結成15年を迎えるPerfumeの3人はASHの1期生であり、在籍中にスクール内で結成されたユニット「ぱふゅ〜む」をその前身としている。
彼女たちは、広島でローカルアイドルとして活動したのちに上京し、亀戸サンストリートや、秋葉原のイベントなどでの下積み期間を経て、2005年にメジャーデビューを果たした。いまでは世界ツアーも成功させるほどの存在になった3人は、生徒たちにとっては憧れのスターであり、ASHの大看板なのである。
送り出した逸材はPerfumeだけではない。
これまた日本を超えて注目を集めるBABYMETALのSU-METAL(中元すず香)や、その姉で乃木坂46の中元日芽香、雑誌「ピチレモン」の専属モデルで元さくら学院の杉本愛莉鈴に、アイドル界のど真ん中ともいえるモーニング娘。’15のセンターを務める鞘師里保も同スクールの出身者だ。
未来のスターに出会うために
ほかにも、まなみのりさの3人に、9nineの西脇彩華、AKB48チーム8の谷優里、HKT48の村重杏奈、アイドルネッサンスの石野理子、Dancing Dollsの植木美心、2014年国民的美少女コンテストで音楽部門賞を受賞した花岡なつみ、ハロプロ研修生の段原瑠々などなど、名前をあげればキリがない。
ASHは現在のアイドルブームを語るには欠かせない存在になっているといえるだろう。
もし、あなたがアイドルを熱心に追いかけている人ならば、ASH出身者がステージで歌う幼いころの動画を見たことがあるかもしれない。
それは、ASHが年に2回行っている発表会のステージだ。この発表会は開校した99年から続けられているのだが、そこに映る少女たちのパフォーマンスの高さや、熱量に心を奪われることだろう。
いったいなぜ、ASHはこれだけのタレント(才能)を生み出すことができるのだろうか。
広島という土地に才能が集まっているのか、それとも、スクールの育成方法が優れているのか──。
この謎を解き明かすには、実際に現地へと足を運ばざるを得なかった。
2015年3月22日 広島国際会議場フェニックスホール
「ACTOR’S SCHOOL HIROSHIMA 2015 SPRING ACT」
もちろん、そこには未来のスターに出会うという目的もあった。
[“本物”であろうとする向上心「2015 SPRING ACT」リハーサルドキュメント(前編)(写真36枚)に続く]
撮影=石垣星児
執筆=森野広明